こたつ

*朽木家
 広大な朽木家の屋敷の中に比較的こじんまりとした部屋が一つある。一般家庭に比べれば広い部屋ではあるのだが、この屋敷の中であれば本当に猫の額ほどの小さな部屋である。
 その部屋は落ち着いた色調で整えられ、真ん中にはこたつが一つ置かれている。家族三人が自然とこの部屋に集まり、こたつに入り込んで寛ぎながら会話を交わすのが冬に良く見られる光景である。
「白哉様、お茶が入りました」
「あぁ、…有難う、緋真」
 既にこたつに入り隊舎から持ち帰って来た書類を読む夫の元に簡易台所で温かな茶を淹れた緋真が歩を進める。
 幸せだ、とふと白哉は考える。
 ぽかぽかのこたつ。
 温かく美味しい緑茶。
 優しい妻の笑顔。
 そして愛らしいいもう………
「ルキアはどうした」
 つい半時間前まで言葉を交わしていた筈の義妹の姿が見当たらず白哉は眉を寄せる。夫からの問い掛けに驚いたように目を瞬かせていた緋真であったが、直ぐにふわりと笑みを浮かべて丁度白哉の真正面に当たる位置を覗き込む。
「…暖かかったのでしょう。眠ってしまっております」
 寝乱れた柔らかな黒髪をそっと撫でればルキアは小さく鼻に掛かった吐息を零す。普段の勝気そうな瞳は閉ざされ、その顔に浮かぶのはいつもより幼く見えるあどけない表情である。思わず表情を綻ばせた緋真の笑顔に、つられたように白哉も表情を穏やかなものにした。



*ランぺルージ家
 一昨日、私達の家に『こたつ』というものがやって来ました。咲世子さんが日本の伝統的なテーブルだと教えて下さいました。テーブルとお布団がくっついたような構造をしていて最初はどうしてか不思議だったのですが、咲世子さんの指示に従ってお兄様とロロさんが頑張って下さった甲斐あって完成したこの『こたつ』に入って漸くこの構造の意味が理解出来ました。それ以来私達家族三人も、それからいつの間にかお兄様のお部屋に居付いているC.C.さんも『こたつ』がお気に入りです。
 今日も皆で仲良く……
「おい、C.C.!そうやって我が者顔で足を伸ばして寝そべるな。俺が足を伸ばせない」
「お前が其処に居るから悪い。邪魔だ、ルルーシュ」
「痛っ、…兄さん、それはC.C.じゃなくて僕の足なんだけど」
「弟を巻き込むな、ルルーシュ」
「…ッ、元はと言えばお前がそうやって邪魔をしてくれるから悪いんだろう!C.C.、とりあえず其処から出ろ」
「嫌だ。引きずり出されても出ない」
 ……は、いかないみたいです。私の真正面に座ったお兄様は右隣にいらっしゃるC.C.に攻撃態勢を示していらっしゃいますし、C.C.さんはお気に入りのチーズ君を枕にお兄様の言葉を聞き流していらっしゃいます。ですが決して仲が悪い訳では無く、こうやって言い合いをしていても仲良しなのがお二人です。困ったように笑った私と、同じように困ったような表情のロロさんの目が合いました。つい笑い出してしまった私達を、お兄様達は言い争いを止めて不思議そうに見ていらっしゃいました。

拍手第一段でした。BLEACHとCODE GEASSでひとつずつ。